ゲームの企画やデザイン、実装などを担う開発部門とは異なる立場から、バンダイナムコオンラインのゲームづくりを担っている品質保証部。
前回の品質保証部・顧客対応チームの石関のインタビューに続き、今回は、品質保証部でダイバーシティやアクセシビリティにおける取組みを担当する大熊へのインタビュー。
バンダイナムコオンラインが掲げるスローガン「日本発のオンラインゲームを、世界へ」のもと実践している、サステナビリティやダイバーシティの取り組みについて語ってもらいました!
−まずは大熊さんの経歴を簡単に聞かせてください。
もともと別のゲーム会社でカスタマーサポート業務に携わっていました。
その後しばらくゲーム業界から離れていたのですが、自身のライフステージと向き合いながら転職を考える中で、やはりゲーム業界に携わりたいという思いが強くなり、縁あってバンダイナムコオンラインに入社しました。
以前勤めていたゲーム会社では、なかなか自分の意見や要望を発信する機会がないところにもどかしさを感じていたのですが、バンダイナムコオンラインは開発チームや経営層ともフラットな関係で対話することができるので、とてもやりがいを感じています。
−現在携わっている業務はどういった内容なのでしょうか?
この仕事をひとことで表すと、「表現に関するもの全般」です。
「倫理」的な観点でゲーム内における設定や表現に不適切なものがないかの審査と、最近は「多様性」の観点で、特に海外展開おけるより良い表現の提案を実施しています。
意識しているのは「ゲームの幅を広げるための視点」です。
バンダイナムコオンラインは「日本発のオンラインゲームを、世界へ」のスローガンのもと、世界中の人々から愛されるタイトルを届けるために全社一丸となって取り組んでいます。
日本とは異なる価値観を持つ海外の国々や地域で多くの人にファンになっていただくには、その文化圏ごとでどういったゲームが楽しんでいただけるのか、多様な視点で考えることが必要不可欠です。
「お客さま第一」を行動指針として掲げるバンダイナムコオンラインの一員として、世界中でどのようなお客様がこのゲームをプレイしてくれるのかを考え、できる限り多くの方々にファンになってもらうためにできることを実行していくことが、自分の役割だと思っています。
−具体的にはどういったことに取り組まれているのですか?
大きな取り組みとしては、社内にグローバルな視点での考え方を根付かせていくためのセミナーや勉強会の開催が挙げられます。
そのためには、まず自分自身が世界の文化やダイバーシティの考え方についてしっかりと理解する必要があるため、常に知識や情報をインプットして、価値観をアップデートするように心がけています。
パートナーである海外のパブリッシャーから得たフィードバックを共有することはもちろん、ゲーム市場の調査データをまとめて公開している海外の調査会社とも契約を結び、個人の感覚論ではなく客観的な事実に基づいた上で「この地域ではこうした方がゲームを楽しんでもらえる」ということを社内に共有するよう努めています。
−多様な意見がある中で、バンダイナムコオンラインとしての方針を固めていくのは難しいようにも感じます。
もちろん、人の数だけ多様な考え方がありますから、それを否定することは決してありません。
ですが、「大好きを創る」をビジョンに掲げる会社として、その達成のために求められることは何か。
その視点はブレないようにしています。
世界のFPSユーザーやガンダムファンに『GUNDAM EVOLUTION』を遊んでもらうために、考慮すべきアクセシビリティとは何か。
一人でも多くの『アイドリッシュセブン』のファンを増やしていくために、より良い表現はないか 。
常にお客様目線に立って考えるようにしています。
−バンダイナムコグループとして取り組んでいることはありますか?
年2回ほどのペースでグループ内で勉強会が開催されています。
またバンダイナムコエンターテインメントとは月に一度情報共有の場を設けて、直近の事例や取り組みを紹介しあっています。
私たちとしても学ぶべき点は参考にさせていただきつつ、バンダイナムコオンラインとしての考え方をまとめる取り組みを進めているところです。
例えば、あるキャラクターがとったポーズが、日本国内では好意的でも、国外でネガティブな意味を持つものだった時、修正推奨すべきか否かを判断するのは常に難しい問題です。
その時、私個人としては原作と原作のファンのことも考慮するようにしています。
原作やそのファンにとって大切な表現であるならば、一概に排除すべきではないと思っているからです。
−バンダイナムコオンラインらしい考え方ですね。
社内に「ゲームプレイ第一」という言葉がありますが、やっぱり創り手もそのゲームを好きで、面白いと思っていないと、ファンを生み出すようなゲームは創れないという価値観が根底にありますね。
それを象徴する文化として、リリース前のタイトルではほぼ全社員がテストプレイに参加するんです。
私もできる限り参加するようにしていて、その際は品質保証部としての目線で内容をチェックしつつも、「この機体、私でも簡単にキルとれちゃうけど強すぎませんか?」といったプレイヤーとしての意見も積極的に発信するようにしています(笑)。
−その他に取り組まれていることはありますか?
未成年の方が安心して、安全にゲームの利用ができる環境作りの検討などを行っておりました。
以前より、稀ではありますが、未成年のプレイヤーによる課金のトラブルが発生してしまうことがあり、ゲームシステムでも年齢による制限を設けるなどの対策を実施していました。
しかし、システムの対策が十分でない部分もある他、対策をしていたとしても、正しく利用いただけずに防ぎきれないことがありました。
また、保護者の方はクレジットカードの請求書があってから状況を理解されることがほとんどのため、「保護者の方にもゲームやお子様と関わって、利用状況を見守っていただきたい」という目的で、保護者様とそのお子様・お孫様に向けた、ゲームプレイに関するガイドラインページの公開を行いました。
−未成年の方と保護者の方、それぞれにガイドラインを発信しているのですね!
それでは最後に、今後の目標を教えてください。
まずはダイバーシティやグローバルへの考え方を社内に根付かせていくこと。
社内のメンバーが自発的に気づきや学びを得て、それをゲームづくりに還元することで、「バンダイナムコオンラインのゲームなら安心して楽しめるね」と多くの方に思ってもらえるような会社を育てていけたらと思っています。
−本日はありがとうございました!
私の『大好き』
最近はもっぱら観劇にハマっています。
あれほどの非日常を、身近に、たった数時間で味わるコンテンツはほかにないと思っていて。
直近の予定もミュージカル観劇でほぼ埋まっています(笑)
ジャンルを問わず観たい気持ちが大きいので、ゲームとコラボした新作歌舞伎を見てからは歌舞伎にも興味がありますし、5年ぶりに日本に上陸する世界的なサーカス集団のショーも観にいく予定です!