設立11年目を迎えたバンダイナムコオンラインとは、
そもそもどんな会社なのか?

  • 何をやっているの?
  • 他のバンダイナムコグループ企業とどう違う?
  • 業界ではどういった存在?

そんなことを社長に聞いてみました。

バンダイナムコオンライン代表取締役社長 関口 昌隆

──バンダイナムコオンラインは、
2009年に当時のバンダイナムコゲームス(現・バンダイナムコエンターテインメント)から分社して出来た会社ですが、
「バンダイナムコグループ内企業の一部署」としてではなく、「オンラインゲーム専門の別会社」として設立されたのはなぜですか?

関口:
設立当時の2009年頃は「オンラインゲーム」と言えばスマホゲームではなくPCオンラインゲームが主流の時代で、
世界的にも中国などを中心に魅力的な市場が広がっていました。
ただ、2005年に旧バンダイと旧ナムコが合併してできたばかりのバンダイナムコグループには、
PCオンラインゲームを作って提供する機能が十分に揃っていませんでした。

──それはどんな機能でしょうか?

関口:
それまでゲーム事業では家庭用ゲームの占める割合が大きく、PCオンラインゲームにおける知見やリソースが不足していました。
特に無かったのは「運営」の機能ですね。
運営までやるとなると今までと違ったスキルの人材も集めなければならず、
「そこまで本気でやるなら制度面も含めて別会社として一気通貫でやりましょう」となりました。
バンダイナムコグループの一員としてグループのミッション「夢・遊び・感動」を実現していく使命があるわけですが、
私たちバンダイナムコオンラインはそれを「オンラインゲームで」実現していく専門会社として誕生したんです。

──オンラインゲームを軸に、「開発も運営も、そしてパブリッシングもやっている会社」ということですね。

関口:
グループ内でも一気通貫で事業展開できる会社は少ないです。
自社内で事業を完結できるということは、同じ船に乗る仲間として、意識を同じ方向に向けやすいという良い面もあります。

──これまでのバンダイナムコオンラインの歩みを振り返ってみて、いかがでしょうか?

関口:
設立から3年後、2012年に「機動戦士ガンダムオンライン」をリリースしたことが会社の重要な局面でした。
「ゲームを作って、運営体制も整えて、お客様に遊んでもらえる状態にして、継続していく」という、
オンラインゲーム事業の一サイクルを確立できたからです。
「機動戦士ガンダムオンライン」は、バンダイナムコオンラインがオンラインゲーム会社としてゲーム業界に入っていく狼煙のような存在です。
そしてその後、ガンダムオンラインは、中国でもサービスを開始しました。
この頃からより強くワールドワイドを意識するようになり、
世界に向けた日本発のクオリティの高いオンラインゲームの創出を目指し、大きく舵を切り始めます。
バンダイナムコオンラインの行動指針のひとつである「クオリティ第一」には、
「世界でも通用するクオリティを目指す」という思いも込められています。
また、会社の基礎となる土壌が出来上がってきたことで、
「自分たちの手で、オリジナルIPが作れないか?」
「魅力的なキャラクターが生み出せないか?」という意識も高まっていきました。

──オリジナルIPを生み出そうとする動きの中で、会社としての方向性や意識に何か変化はありましたか?

関口:
バンダイナムコオンラインの代表的なオリジナルIPと言えば2015年にリリースした「アイドリッシュセブン」ですが、
これは本当に多くの気付きをもたらしてくれたプロジェクトです。
事業面では、ゲームを軸にしながらゲームに閉じない広がり、つまりアニメや音楽、LIVEといったマルチメディアでプロジェクトを展開し、様々な場面を通して沢山のファンに応援していただきました。
バンダイナムコのグループ会社との協業で、グループを横断して形にできたことも大きかったです。
バンダイナムコグループの強みのひとつが、グループ内で多岐に渡るエンターテインメント事業を展開できること。
これを最大限に活用することで、IPや事業の展開を加速することができました。

アイドリッシュセブンで特に衝撃を受けたのが、ドームLIVEでした。
そこには、情熱と覚悟を持って作り込んできた作品に対して、それと同じくらい懸命に応援してくれるファンの方々の姿がありました。
会場を見渡すと、感動したファンの方々が泣いていて、プロジェクトメンバーも泣いていて……。
本当に純粋に好きで好きで届けたものに魂が宿って、それをファンの方々がしっかり受け取ってくれた。

これを実現できた理由のひとつに、ファンの方々との日々のコミュニケーションがあると思っています。
「お客様の声を聴く」ことは当然大事なのですが、それをどのぐらいホットなコミュニケーションで実践できるかで、
同じものを作っても受け取ってもらえる想いは大きく変わってきます。
このことがキッカケとなって、会社としても、ファンの方々ともっともっとコミュニケーションをとっていこうという方針を掲げました。
また、バンダイナムコオンラインの行動指針である「お客様第一」には、そのことを常に心に留めておけるように、
そしてここに立ち戻ってこられるようにといった思いも込められています。

──先程「ワールドワイド」という言葉が出てきましたが、
バンダイナムコオンライン11年目に突入した今は、どのような局面になるのでしょうか?

関口:
会社としての在り方は、大筋は変わってないですね。
ただ、業界の状況は常に大きく変化しています。
近年はスマホゲームが主流になったり、国内コンテンツの輸出どころか逆に世界からどんどん質の高いものが押し寄せている状態になりました。
だからこそ今、私たちにとって、当初から掲げていた「面白いオンラインゲームを愚直に作る」という在り方がより重要になってきました。時間を掛けてでもクオリティの高いものを作らないと世界中のお客様には届かないからです。
近年スマホ市場の活性化で、スマホゲームを作る会社はたくさんできました。
ところがコアなPCオンラインゲームを作って運営する専門会社は、国内にはバンダイナムコオンライン以外にほとんど存在しません。
正直なところ、事業としてPCオンラインゲームをやりたがる会社はあまりないんじゃないかと思っています。
なせなら、スマホに比べると市場の伸びが落ち着いている一方で、
求められる技術力や開発コストの高さ、必要とする人員や開発期間が膨大で、非常に大きなリスクが伴うからです。
だからこそ、そこにチャンスがあると思っています。

バンダイナムコオンラインは、これからもPCやスマホなどの垣根なく、
マルチデバイスで「ガチのオンラインゲーム」が作れる会社を目指します。
オンラインゲームを軸としたIP創出企業として、「酔狂だ」と言われながらも愚直に、世界に挑戦していきたいです。

──そういった挑戦をする上では、どんなことが肝になってくるのでしょうか?

関口:
さきほど「お客様第一」や「クオリティ第一」といった行動指針の話をしましたが、
結局はファンの期待にどれだけ応え、その期待を超えていけるかだと思っています。
期待を超えるためには、そもそも作る側の熱量がお客様の熱量より高くなければ無理でしょう。
つまり、「いかに自分たちが作るゲームやコンテンツを好きか、自分たち自身が一番のファンであるか」ということ。
それもただ好きなだけでは足りなくて、
その好きを外へ発信して、「誰かの好き」を作り出せるかが重要だと考えています。
仕事で何かを作るということは、綺麗事ばかりではないですし、心折れそうなこともあります。
そういう山場を乗り越えていく熱量は絶対に必要になってきます。
今後リリースを控えている「BLUE PROTOCOL」等のタイトルは、そういった熱量の集大成となるものです。
さらにバンダイナムコオンラインの仲間になっていただく方も、そのような方が望ましいと考えています。

──関口社長ご自身が大事にしていることを教えてください。

関口:
大事にしていることは、少しでもお客様視点が鈍らないように、しっかりゲームプレイすることです。
もうすぐ50歳というのもあってプレイに衰えを感じていますが…(笑)
行動指針の「ゲームプレイ第一」は、バンダイナムコオンラインのメンバーが日々ガチすぎるくらいに体現してくれているので、
自分も情熱では負けないように頑張っていきます。

私も子供の頃からゲームが好きで、ゲームが好きな仲間と出会い、多くの想い出に恵まれました。
そして、縁あって今はゲーム会社の社長をやらせていただいております。
だからこそ、今の私を形づくってくれたゲーム業界に少しでも恩返しをしたいという思いが強く、
ひとりでも多くの方に「このゲームに出会えてよかった」と思える体験を提供したいと考えています。

──関口社長の生き様をゲームプレイで見てみたいです!
ありがとうございました!