こんにちは!
バンダイナムコオンラインの品質保証部に所属し、ダイバーシティやアクセシビリティに関連する取り組みを行っている大熊です。
参考記事
 
今回は、私たちバンダイナムコオンラインが「倫理」や「多様性」の観点でゲーム表現の幅を広げていくために取り組んでいる、社内向けDEI研修についてご紹介します。
※DEI:ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)&インクルージョン(包括性)

■広範囲かつ多岐にわたる品質保証部の役割
そもそも「品質保証部って何をしているところだろう?」と思う方もいらっしゃるかと思います。
品質保証部とは、まさに字の通り「品質」を「保証」するために必要な業務を担っている部門です。
ゲーム業界だけの部門ではなく、食品やアパレル、自動車など、製造業を行っている企業では、ほぼ確実に存在しています。

具体的に何をしているかというと、皆様へ製品を提供する前に、製品そのものや、製品に関連するものに不備や問題がないかなどのチェックを行っています。
そして、チェック内容をもとに製品合否の審査・判定を行っています。

例えば、野菜だったら、使用する農薬の種類や量の他、販売に出せるサイズや形など、お客様への安全性などを踏まえて特定の範囲のものを合格基準として定め、その基準に従って、出荷前に農家さんがきちんとチェックをして振り分けなどをしています。
それと同じようなことを行っています。

一般的にゲームの品質というと、バグの重大さや数が思いつくかと思うのですが、それ以外にも、法律に関わるものや、不正利用(チートなど)に関するもの、お客様対応に関わるものなど、広範囲かつ多岐にわたっています。

■海外展開におけるダイバーシティの重要性を周知する社内研修を開催
私が携わっている主な業務は「表現」に関することです。
「表現」とひとことで言っても様々ですが、今特に重点的に取り組んでいることは「海外展開におけるダイバーシティ(多様性)の重要さを社内に浸透させること」です。
 
ダイバーシティとは、人それぞれの個性を認め合い、共存している状態のことを言います。
女性活躍やトランスジェンダー(生まれ持った体と心の性が異なる人)など、「性」に関わる話が取り沙汰される傾向がありますが、それだけではありません。
年齢や国籍、人種・民族、宗教や障がいなど、実に様々なものがあります。

日本発のオンラインゲームを世界のファンに届けるためにチャレンジするバンダイナムコオンラインでは、現在、日本国外に向けたゲームコンテンツの配信も行っています。
海外向けの配信では日本とは異なる対応を必要とすることも多々あり、海外の協力企業様からアドバイスをいただいたり、様々な調査を行ったりしています。
そこで、これらの情報をまとめ、ダイバーシティを考慮することの重要さや、情報提供を目的とした定期的な研修を実施するに至りました。

実際に実施した研修について簡単にご紹介します。
 

■世界の様々な地域で楽しんでもらうためのコンテンツ表現を考える
海外、特にアメリカのゲームプレイヤーには、アバター作成をするゲームや、キャラクター性が伴うゲームにおいて、以下のような傾向があることが分かりました。
 
・キャラクターに自己投影することを好む傾向がある。
・ダイバーシティを重要視する傾向がある。
 
そのため、プレイヤーキャラクターやフィールド上のキャラクターが「日本人のようなキャラクター」ばかりだったり、日本人の好むデザインのキャラクターだけでは、そもそも受け入れられない可能性があることが分かってきました。
特に海外のプレイヤーが、キャラクターに自己投影し、没入感を味わいながらゲームを楽しむためには、単一的な要素だけではなく複数の要素を含めていくことが必要です。

これらを前提として、2023年1月から、
・キャラクターの見た目に関わる研修を2回
・世界観やキャラクターの設定に関わりそうな宗教に関する研修を2回
・文化や価値観の違いを知るための研修を1回
これら計5回の研修を実施しました。

キャラクターの見た目に関わる研修については、大きく以下のような項目について研修を実施しています。
 
・キャラクターを構成する要素(肌・髪・顔・目・鼻・口・体型)
・性の表現について(男・女・LGBTQ+)
・障がいの表現について
・NPC(ノンプレイヤーキャラクター)について

プレイヤーを構成する要素には多様な肌の色や顔の構成パーツ、体形体格、服装や髪型など多々あります。
また、性も男女だけではなくなってきている点や、障がいなども個人を構成する大切な要素として認識されている点も挙げられます。
これらにどれだけバリエーションを持たせるか、どのようなバリエーションが必要なのかを考慮することが必要になってきますよ、ということをお伝えしています。

そして、宗教に関する研修については、大きく以下のような項目について研修を実施しています。
 
・コンテンツで宗教的な表現を行う場合の留意点
・ユダヤ教/キリスト教/イスラム教
・ヒンドゥー教/仏教
 
日本人は無宗教である、とよく言われますが、実際に日本人の7,8割が信仰している宗教はないというデータがあります。
また、身近に接する機会も少なく知識も乏しい傾向があります。
ゲームコンテンツに取り入れる場合にも、海外のビジネスパートナーと接する場合にも、教養としてメジャーな宗教について知っておく必要があるだろうという趣旨で、ごく簡単ではありますが、各宗教の考え方や習慣などを社内に紹介してきました。

いずれも各1時間程度の内容ではありますが、密度は濃いので、参加してくれたメンバーからは継続開催希望の声が多く集まっています。

■ダイバーシティの課題
ダイバーシティにも良いところばかりではなく、課題もあります。
例えば、
「日本人以外もゲーム内に登場させてね!」
「LGBTQ+にあたるキャラクターがX人以上じゃないとダメだよ!」
「宗教要素を含むコンテンツにはしないでね!」
などと強制してしまうと、逆にコンテンツの世界観を破壊してしまう可能性があります。

そのため、ゲームに何をどう反映させるか・させないかはプロジェクトの判断を尊重しており、あくまでも考え方や概念を共有する・浸透させるという趣旨からは外れないようにしています。
 
バンダイナムコオンラインのメンバーのクリエイティブな発想をお手伝いするための一つとして、今後も情報提供に努めたいと思います。