こんにちは!
バンダイナムコオンラインの品質保証部の大熊です。
バンダイナムコオンラインでは、ゲーム表現の幅を広げていくために「倫理」や「多様性」の観点で社内向けDEI研修を実施しています。
※DEI:ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)&インクルージョン(包括性)
3回目となる今回は、品質保証部で実施した、表現の抑制に関わる「倫理」をテーマにした社内研修についてご紹介します。
▷1回目:バンダイナムコオンラインの「社内向けDEI研修」についてご紹介します!①~ダイバーシティ~
▷2回目:バンダイナムコオンラインの「社内向けDEI研修」についてご紹介します!②~多様な人々にサービスに触れてもらう「アクセシビリティ」~
■「バンダイナムコオンラインのコンテンツなら安心」と思っていただくための「倫理」
オンラインゲームの開発・運営に取り組むバンダイナムコオンラインですが、世界中のたくさんのお客様にファンになってもらうためには「まずお客様に触れてもらうこと」を第一歩とし、DEI研修を通して多様な表現を取り入れるためのアイディアなどを発信してきました。
しかし、「多様性=何を表現しても良い」ということではありません。
多様性とは、様々なお客様の「環境」や「状況」を考慮し、それぞれを尊重し受け入れることですが、モラルや道徳、法律に反するようなものを尊重することは難しく、受け入れることもできかねるものと思います。
そのような、社会一般的に不適切、不謹慎と受け止められるようなもの、誰かが傷つき悲しむようなものが含まれる可能性がある表現のことを、バンダイナムコオンラインでは「倫理」と呼んでいます。
また、それらの表現が含まれる可能性のある場合に、表現を見直すことも必要な場合があります。
そのため、表現のチェックを行っていますが、これを「倫理チェック」と呼んでいます。
「バンダイナムコオンラインのコンテンツであれば安心して遊べる」と思っていただけるよう、エンターテインメントを提供する企業として、私たちが非常に重視している取り組みです。
■社内向け「倫理ガイドライン」と「レーティング」
例えば、
・一般的に犯罪と認知される表現があった場合
・不必要に過度な暴力や露出があり不快に受け止められる表現が見つかった場合
・あるコミュニティを特定できる形で否定・排除するような表現を扱っている場合
など、「本当にそのコンテンツに必要なのか」を慎重に判断する必要があります。
しかし、それを一個人の考えや肌感覚のみで判断することは、逆に偏ったものや誤ったものになる可能性もあります。
そこで、バンダイナムコオンラインではチェックの基準となる「倫理ガイドライン」を作成し、社内に公開しています。
これには、そもそも避けることを推奨する表現などについて記載されていますが、表現の幅を狭めないようごく最低限の記載を行っており、研修ではそれらの観点について説明を行いました。
なお、ガイドラインで「表現してはならない」とされるものが含まれている場合は、表現の修正や削除が必要になることもあります。
また、これまでPCオンラインゲームではあまり重要視されてこなかった「レーティング(年齢区分)」についても説明を行いました。
レーティングとは、「コンテンツが何歳以上に適しているか」という目安になるもので、専門の審査機関により判断されます。
家庭用ゲーム機でプレイできるゲームは、日本の場合、必ずCERO(特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構)に審査を依頼し判定をいただく必要があります。
近年はPCオンラインゲームでもレーティング表示が行われている場合もあります。
日本のレーティング表示に法的な拘束力はありませんが、お客様本人や保護者の方など、ゲームをプレイする際に参考にされるものです。
例えば、年齢問わず親子で楽しんでほしいという作品は、「全年齢対象」という判定が必要です。
しかしその判定が出なかった場合、表現を修正・調整する、またはプロモーションの方向を変えるなどの対応が必要になってくる場合があります。
なお、レーティングは、世界の国や地域によって審査機関が異なっており、基準年齢も異なっていることも説明があり、非常に難しい調整が必要になる可能性が高いものと思われます。
このような倫理に関わる内容について、リリース時期が近くなってから問題が発覚すると修正が難しくなることが非常に多く、結果としてリリース延期など多大な影響が出る可能性があります。
そのため、画像であれば仮デザインの状態から、シナリオなどであれば設定の状態だけでも、「できるだけ早いタイミングでチェックを行う」ことを改めて研修の中で勧めました。
■倫理表現において私たちが大事にしていること
今回ご紹介した研修の実施も含め、バンダイナムコオンラインでは、倫理に関する情報収集や表現のチェックなど様々な取り組みを適宜実施しています。
しかし、新たな表現というものが今この瞬間にも常に生まれており、かつ、時代によって一般的な感覚が変化するところもあるため、「昨日問題なかったものが、今日この瞬間から問題になる」という表現も出てくることがあります。
表現に確実な正解はなく、感度高く情報を有し柔軟な判断を行う必要があり、誰でも適切な判断ができるものではありません。
しかし、注意点が分かっていれば、知識を持った担当者へ相談することもできるため、定期的な研修や情報の発信を行っていくことが今後も継続して必要と考えています。
また、不適切な表現は控えることが好ましいですが、
・コンテンツでどうしても必要な表現である
・そう表現する理由がある
場合に、背景や状況を考慮せず表現を排除することのないよう心がけていくことも大切だと考えています。
世界中の多くの方に、バンダイナムコオンラインのサービスに安心して触れていただけるよう、今後も表現について様々な情報の提供やアドバイスなどでお手伝いを行っていきます。