こんにちは!
バンダイナムコオンラインの品質保証部に所属し、ダイバーシティやアクセシビリティに関連する取り組みを行っている大熊です。
参考記事
 
バンダイナムコオンラインでは、「倫理」や「多様性」の観点でゲーム表現の幅を広げていくため、社内向けDEI研修を実施しています。
※DEI:ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)&インクルージョン(包括性)

2回目となる今回は、「エクイティ(公平性)」をテーマに実施した社内研修についてご紹介します。
前回のブログ:「海外展開におけるダイバーシティの重要性」をテーマに実施した研修のご紹介

■たくさんの方にオンラインゲームを届けるための「エクイティ(公平性)」
バンダイナムコオンラインはオンラインゲームの開発・運営を主として取り組んでいる企業です。
世界中のたくさんのお客様にオンラインゲームを届け、そしてファンになってもらうためには、まずお客様に触れてもらうことがその第一歩となります。

そのためには、お客様の「環境」や「状況」を考慮することも必要な要素です。
例えば……

何時間もプレイできる状況にある人、隙間時間にやっとプレイができる人。
右利きの人、左利きの人。
片手、または両手が自由に動かせない人。
聴力や視力が低い、または無い人。
FPSが得意な人、不得意な人。
高校生、大学生、社会人。
 
人それぞれに様々な違いがあり、その違いにより、ゲームプレイにおける不公平が生まれることもあります。
例えば、プレイヤーが右利きであることが前提のUIでは、左利きの方は操作で手間取ることがあるでしょうし、そもそも片腕が自由に動かせなければ、プレイに参加することすら難しい場合があります。

そうすると、渾身の作品を生み出したとしても、プレイに間接的に関係してくる有利不利の不満からの離脱や、そもそも遊んでももらえないという状況が生まれる可能性があります。
 
バンダイナムコオンラインでは、たくさんの方にオンラインゲームを届けていくために、できる限りお客様が公平な状況でプレイできる環境を考えたいという想いがあります。
そのため、研修ではまず最初に「ゲームにおける公平性」の重要性を伝えました。

■アクセシビリティ=「多様な人々にサービスに触れてもらう」こと
最近、「アクセシビリティ」という言葉を目にすることが増えているかと思います。
社内でも、過去のDE&I研修後のアンケートで、
「アクセシビリティに注目している」
「アクセシビリティって具体的に何をしたらいいの?」
というような質問をもらうことがありました。
 
「アクセシビリティ=障がい者向け対応」という考えが強くありますが、実はそれだけではありません。
言葉自体には「近づきやすさ」、「接近しやすさ」、「利用しやすさ」といった意味があり、多様な人々ができる限りサービスに触れやすくする、ということを差しています。

様々な状況の方や多様な個性を持った方々にバンダイナムコオンラインのコンテンツを手に取ってもらえるよう、
「アクセシビリティとは何なのか」
「どういうことを考える必要があるのか」
を社内で共有しました。

研修では、アクセシビリティの一例として、聴力や視力の低い方に向けた「テキスト読み上げ機能」や「音声のテキスト化機能」などを紹介しました。

これらの機能は、アメリカでは法律で対応必須化されているため、世界に向けてチャレンジを行うバンダイナムコオンラインにとって大きく関連するポイントの一つです。


■アクセシビリティの課題
開発・実装経験の薄い機能を加えるとなると、どうしても開発工数が膨れ、制作期間が長くなることや、費用がかかるなどの課題があります。
また、ゲームを支える部門でも、これまでのやり方とは視点を変えて取り組む必要が無いか、などの検討をしていくことも必要です。

アクセシビリティを取り入れることは、お客様にとってもバンダイナムコオンラインにとっても素晴らしく、良いことですが、口で言うほど簡単ではないのが現実です。
 
しかしながら、どんなに小さなことでもできることから導入を進めていくことが、たくさんのお客様に触れてもらうきっかけになると感じています。

世界中のできるかぎり多くの方にバンダイナムコオンラインのサービスに触れてもらう機会が作れるよう、今後も有益な情報の提供やアドバイスなどでお手伝いができればと考えています。

「GUNDAM EVOLUTION(サービス終了)」でのアクセシビリティ実装例

GUNDAM EVOLUTIONにおいて「色覚サポート」機能の実装の他、ゲームパッドでの操作となる家庭用版でのみ「エイムアシスト機能」も導入していました。

色覚サポート
プレイヤー自身が判別しやすい色の組み合わせへ調整できる機能です。
色の見え方には人それぞれ違いがあり、特に赤系・緑系・青系で色の区別がつきにくい場合があるため、区別しやすい色の組み合わせを選択できるように用意しておりました。

エイムアシスト機能(一部掲載):
レティクル(照準を合わせるための線などのマークのこと)を敵ユニットに合わせやすくする機能です。
一般的にFPSはマウスの方が狙いを定めやすく有利とされているため、ゲームパッドで操作する場合のみ、狙いをつけるための補正機能が導入しておりました。簡単に設定可能な「簡易設定」と、こだわりをもって設定できる「詳細設定」の2種類がありました。